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日記を書くほどまめではないが、何もせずに歳を重ねていけるほどほど潔くもないので、年に一度、前年の出来事のまとめと今年の展望を書いている。 見て面白いのが自分だけなら、わざわざ公開しなくてもよさそうなもんだが、公開しないときっと続かないんじゃないかと思う。わずかなアクセスは多分googleのクロールだけとしても、いつか検索にいっかかるかもと思えば多少の励みにはなる。 ことしも原発関係の話題がやや多いが、まぁ問題収束にほど遠い状況だからしかたがない。来年には収束するといいね。
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2012年を振り返って 政治 |
2013年の展望 |
・自宅でまったり 本当の意味を調べるのも面倒だ。もっこり、ゆったり、べったり、まろやかを連想するので、時間がすぎるのを、もっこりした服をきて、ゆったりしながら、家族とべったりまろやかに過ごせばいいんかな。 |
安倍政権が誕生した。当選議員数では自公で2/3と圧勝だが、得票率は30%程度と厳しい。安倍政権についてはニュース等で語られつくされているので、とやかくいってもしょうがないが、小選挙区制で得票率30%で圧勝の意味については少し考えてみた。 小選挙区制は政策の似通った中道的な2大政党化を促進する。今回の選挙でもエネルギー問題や財政社会保障などの主要政策では政策の収れんがおこった。この点では小選挙区制が機能した。しかし、同時に投票率は低下した。政策の収れんによって、政策の細部にはとくにこだわらない層が投票意欲を失ったのであれば、政治への満足度は高いので問題ない。中道的政策では満足できない、エキセントリックな政治姿勢が増加すれば、社会の不安定化につながる。 新政権が、選挙後に現状に楽観しなかったことはよいことだ。中道的政策に妥協できないのは、政策とその理由の説明不足が原因だ。「どの政党にも投票できない」という有権者の声を丁寧に拾い、誤解を解き、説明不足を補って、政治、政策に対する不信を取り除く努力が必要だ。
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活断層騒ぎでここまで再稼働が遅れていることは、驚きであり残念だった。 2011年の事故で、実際にはいつおこっても不思議のないリスクが長年見逃されていたことが明らかになった。見過ごされている、大きなリスクが他にないかを再点検することが、安全確保のための最優先事項であるはずだ。 活断層による事故リスクが、そのような事故リスクではないことは明白だ。断層が活断層であっても、活動するのは1万年に1回以下である。また活断層が活動した際に、真上の耐震建造物に被害が及ぶ確率も、過去の被害統計によれば非常に小さい。原子炉格納容器は通常の耐震建築より頑健であり、活断層に起因して放射性物質の放出が発生する可能性は100万年に1回(0.0001%)未満という小さな確率でしかない。もちろんそれもゼロにした方がよいが、規制委員会の責務はより大きなリスクを発見することで、重箱の隅をつつくことではない。 規制委員会のこれまでの活動を見るかぎり、そうした見過ごされたリスクを積極的に発見しようとする姿勢は見えない。大衆の賛同を得て、法律が定める任務を遂行すれば、自らに責任はない、という行動様式に見える。そういった行動様式こそが、事故を招いたのではないか。あれだけの事故の後で、事故を招いた行動様式が温存されるとすれば、恐ろしいことだ。
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気が早いかもしれないが今年の抱負は円安対策だ。今後急激な円安が進む可能性は高いと思う。もともと円高には投機的要因が多い。1500兆円の個人資産が一斉に円から逃避しだしたら歯止めがないとパニックになる人もいるかも。そのため、本当に底なしの円安が続くのか、あらかじめ冷静に考えておくことが大事だと思う。 個人資産は現金50%、株式投資信託が20%、年金保険が30%程度だが、株投信は実物資産なので円安の影響を受けず、年金は価値は下がるがもともと円でしか受け取れない契約だから円安による逃避とは無縁だ。残りの現金預金は多そうだが、369兆円は負債だ。残りの多くは政府債務だが、このうち建設国債分は債務に相当する現物の施設があり、赤字国債は減価すれば実質的に政府債務が減り、損失と同額の減税が期待できる。 だから円が下がっても平均的には困らない。平均的には、というのがミソで、もちろんドルで借金をして全額国債を買っていたような人や老後の資金を全額円で持っていればもちろん大きな損失になる。それは円に投資したアメリカ人が円安で損をするのと同じだ。 当家は、もともと円資産をほとんど保有しない方針である。しばらくは円資産はゼロまたはマイナスに保ち、過度に円が売られたら、多少買い戻すという方針で行きたいと思う。もう年齢も高いので、儲かりもしないが損もしない資産運用をしないとね。 |
2011年~2013年に科研費プロジェクトでEV/HEVの走行音の研究を行っている。EV/HEVの市街地での走行時に、歩行者に接近をしらせるための適切な走行音の研究だ。現状は試行錯誤的に評価がされているが、さまざまな客観的な指標を試験する予定である。 とはいえ、将来は安全のためにはこんな技術はいらなくなるかも。すでに市街地には多くのカメラが設置されているし、きちんとシステムを組めばすべての歩行者の動きを認識することも可能だ。歩行者が接近したら車をとめればいいだけで、接近をしらせる音などはあまり必要がない。しかし、後ろから接近した車が無音でただ歩行者がどくのを待っているだけ、というのも不気味なので、気にさわらないように接近を知らせる音というのは必要かもしれない。 |
現在担当している講義はこちらの通り。 来年はデータベースの授業が全くなくなる。だいぶ工夫したコースなので、どこかで使ってくれるとうれしいな。 データベースの2010年の資料は-> こちら 2014年度からおおはばな講義の再編が予定されているので、これらの講義のいくつかは2013年度で終わりかも。まぁだいぶ飽きてはきたので、そろそろ新しい講義をしてみたいものだが、基本プログラムをたくさん準備する方に時間をかける方なので、新しい授業が軌道にのるのに時間がかかる(2~3年くらい)なのがちょっと心ぐるしい。 |
まだ定年まで10年あるが、そろそろ定年後のキャリアを真剣に考えねばと考えている。さすがに65才で引退というのは、ぼけない限りちょっと現実的ではなさそうだ。しかし、65才近くになって急に仕事を探しても見つかりそうにない。これといって売り物になる経歴があるわけでもなく、今のうちから仕事を探しておくことが必要だと思う。まぁ定年がなく、業務時間の調整が可能で、私でもできる仕事ということになりそうだ。 避けたいと思っているのは、報酬の少ない仕事を無理やりやること。別にお金がほしいわけではないが、年金をもらっている高齢者が、安い値段で若い人の仕事を奪うのはやってはいけないことだと思っている。そのために、せいぜい若い人と競合しない能力を磨き続けたい。若者と競合せず、社会で必要とされる能力を提供しつずけられれば理想だが、なかなかむずかしそうだね。 |
長期的な脱原発には中期的(今後10~40年)には高速炉の実用化がぜひとも必要だと思う。これについてまとめておこうと思う。 一時50トン蓄積された兵器級余剰プルトニウムは現在MOX燃料燃焼による処理が計画中だ。 http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=14-04-01-26 今後アジア地域に100基の原子力発電所が建設され、膨大な使用済燃料が蓄積される。未処理の兵器級余剰プルトニウムと今後増大する使用済燃料の処理をどう行うかが重要な選択だ。 兵器級余剰プルトニウムについても当初地層処理が見当されたが、現在はMOX燃料として燃焼させる方向だ。プルトニウムの核種変換は小規模であれば実証された技術で、永久保管よりは有害性の少ない核種に変換する方が安全との判断ではないかと推測できる。いずれの物質もたかだか数100トンであり、20~30年であれば安全に安価に保管が可能だ。拙速に再処理や永久処理を進めるよりは、安全で効率的な処理設備を立地地域との合意をもとに丁寧に時間をかけて準備し、万全の態勢が整ってから処理を始める方がよい。 再処理施設の安全性に疑問があれば、稼働を急ぐ必要もなければ、実績のない永久処理を拙速に選択する必要もない。 幸い、再処理施設の稼働には問題がなさそうだし、ABWRによるMOX燃料処理サイクルが予定通り稼働する可能性は高まった。もちろん、その目的や必要性がまったく理解されていないことは問題で、もっと周知に努めるべきだろう。 しかし、現在構築中のこの核燃料サイクルが稼働すればプルトニウムの蓄積は収まるが、以前原子力発電と再処理の継続的稼働が必要になる。 高速炉はより効率的に核種変換が可能で、プルトニウムの蓄積も最小化できる。MOX燃料の次の方式として早期に実用化すべきではないだろうか。 問題は、高速炉の利点や必要性がよく認知されないままで議論が行われていることだ。どうしてそうなったのかはよくわからないが、得失が示されないまま国民的議論をしても意味がない。私ごときが宣伝したところで何の効果もないだろうが、やはりきちんとした説明を行った上で、民意を反映して政治的判断をすべきではないかと思う。 再稼働をするだけでは当然脱原発にはつながらない。高速炉実用化を含めた長期的な脱原発の現実的なロードマップの一つは、たとえば以下のようになると想像している。他にも様々な案があるだろうが、こういったロードマップを提示して、他提案とコストやリスクを比較した上で選択をするのがよいのではないかと思う。 当面の再稼働 (稼働率最大化->建設される3G炉の最小化) (2013.1.2修正) |
現状では、規制委員会と実務者とのコミュニケーションが充分でない点が不安要因だ。中立的なことは重要だが、素人判断では困る。 委員会は中立的ではあるが、専門的知見もないし、また何か問題が起きても責任をとる立場にない。実務者との信頼関係とコミュニケーションが必要だ。 航空機の操縦でいえば、パイロットが居眠りしていないかを監視するのが、規制組織が果たすべき役割だ。代わりに操縦する能力はないからだ。操縦桿を握ってもらっては困るし、操縦席からパイロットを追い出してしまっては、さらに危険だ。 当事者意識にたって、実効性のある規制を行うには、実務者たる電力事業者との意思疎通が不可欠だ。現場で危険の矢面に立つ従業員ともっとも密接な関係にあり、事故の損失を株主から厳しく追及される立場でもあり、自発的に安全を実現する強い動機を持ち、もっとも専門的技術を有するからだ。 むろん、実務者が居眠りをしていないかを監視する必要はある。が、これだけの痛みを感じた後で、実務者が居眠りをするとは想像しにくい。現在もっとも目をぱっちり開けているのは実務者だ。責任を問うだけでなく、今は実務者にしっかり力を発揮してもらえる環境を整えるべきだ。 操縦室にはちゃんと訓練をうけた操縦士に座ってもらいたい。
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