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2013年を振り返って/2014年の展望
 
   金子格 個人ホームページ http://www.it-aru.com/    
   


日記を書くほどまめではないが、何もせずに歳を重ねていけるほどほど潔くもないので、年に一度、前年の出来事のまとめと今年の展望を書いている。

他人が見ても多分あまり面白くないだろうが、お正月に暇な人などのために公開している。本人が見ると、「ああ、このころはこんな事を考えていたのだなぁ」などと思い出されて結構面白いものである。

見て面白いのが自分だけなら、わざわざ公開しなくてもよさそうなもんだが、公開しないときっと続かないんじゃないかと思う。わずかなアクセスは多分googleのクロールだけとしても、いつか検索にいっかかるかもと思えば多少の励みにはなる。

といっても毎年元旦には完成した例しがない。それどころか、次の年まで暫定版のままであることが多い。

別記ない限り 2014年1月2日記

2013年を振り返って

新年
自宅でまったり

政治
安倍政権2年目、靖国参拝

経済
円高
負債としてのメタン

トピック
オリンピック

リニア

 

2014年の展望

経済
円安対策
研究
次の科研申請
大学
講義
キャリア
定年準備?

原子力
高速炉



・自宅でまったり

昨年夏に家族旅行は済ませてあるので、今年も新年は自宅だ。円安も進んだことだし、無理をして海外に出る必要もない。3月末は国際会議の予定もあることだし、しっかり日本のお正月を味わうことにしよう。

 

・安倍政権2年目、靖国

安倍政権2年目に突入した。「経済政策は好調。支持率はまぁまぁ。やや右傾化が心配」が、おおかたの評価だろう。靖国参拝については内外で大きな議論をまき起こした。

改憲は自民党の方針だし安倍氏が主張するのは不思議ではない。しかし、その自民党もA級戦犯合祀後の首相の靖国参拝はほとんど行っておらず、なぜ安倍氏が強いこだわりを持つかは不思議だ。遺族会のため、とすれば特定の支持団体に偏り過ぎ、党、政権、他支持層に強いる犠牲が大きく、不自然だ。

一部で想像されているように、安倍家の事情のせいかと想像している。 ご存知の通り安倍氏の祖父である岸は、東条内閣で閣僚をつとめ、戦後は当然A級戦犯の容疑を辛くも免れた。その後自主憲法制定を党是とする自民党初代総裁になり首相になった。この経緯には、本人やごく近くの人のみが知る複雑な事情がありそうだ。そして、岸氏の立場になれば自分だけが生き残ったことに対する自責の念は想像できないほど大きかったと思う。その強い思いが、改憲や同僚の名誉回復に向かい、その思いが安倍氏に託されたとすれば、安倍氏の行動に理解できない面がなくはない。

ただ、そうはいっても与党の党首、一国の総理になったからには、自己の都合は押さえて国益と民意を優先するのが当然だ。女性や様々な人種の大統領が、自分が象徴する集団の権利回復ばかりを優先したらどうなるか。政権を担っている間だけでも自重してほしいものだ。

また、こうした問題がもちあがると、やれ東京裁判は不公正だとか、日本は開戦を強いられたなどという議論を蒸し返す人まで出てくるのは困りものだ。新しい事実を示すわけでも、相手を説得する意図もなく、ただただ同じ主張を一方的に発する姿は、痛ましい。安倍氏もその意図はないのに、日本の戦争の正当化を図っているとの誤解を生じていて、贔屓の引き倒しではないか。


 

・円高

昨年度、「まだそういう報道はないが、個人的には長年続いたデフレ・円高トレンドは終了したと判断している。」と書いたが、おおむね予想通りの展開になった。「今後心配なのは、急激な円安かもしれない。」とも書いたが、まだそこまでは行っていない。
今年どうするかは、2014年の豊富で。

 


 

・負の遺産としてのメタン

負の遺産としてのメタン漏洩についてあまりに話題にならないのでとても気になっている。

50年後の気候については、自然な気候変動との相乗効果もあり、議論が続いているが、1000年間温室効果ガスの排出を放置すれば30度程度の上昇=人類の生存が困難になることについては疑問の余地はない。温室効果ガスの許容限度やタイムリミットがいつであるかについて議論が分かれても、一定の限度があることは確実だ。

メタンの温室効果はCO2の30~70倍。つまり、天然ガスを1トン大気に放出すれば、30~70トンのCO2を削減しなければならない。天然ガスの漏洩は温室効果ガスを制限内に収めるという仮定の元では、非常に大きな債務になることが確実なのだ。

心配なのは50~100年で経済的な採掘が終わるとされる天然ガス田の処理である。いろいろな文献を調べているが、放出を止める簡単で有効な方法が見当たらない。漏洩が続けば、その分他の化石燃料の利用を控えなければならない。1トンのメタンの放出により30トンの石油消費を押さえなければならないとすれば、これは相当高くつくのではないだろうか。

 

・オリンピック

2013年のニュースといえばこれだろう。実はあまり関心がなく、1月2日に書き忘れたくらいだ。もともと運動が好きではないし、東京オリンピックも歴史上のイベントとしては関心があったが、競技そのものに興奮した覚えはない。

IOCに振られたら、ILCにラブコールすればいいじゃないかと思っていた。ILCは国際リニアコライダー。トップスコアを出せばこちらは人類の歴史に新しいページを開くという点ではこちらもたいしたものだ。でもオリンピックが来てしまったから、ILC誘致の可能性はますます下がっちゃったかも。

(2014.1.3)

 

・リニア

リニアのルートが決まった。

東京起点から品川起点に変更になったが、ずばり大胆予言。

起点は武蔵小杉になる可能性があるかも。

理由は、うちに近くて便利だから、ではなくて、都市部住民が地下の通過に反対するから。大深度地下であり法的には住民の同意は必要ないが、今どきの安全信仰の風向きはわからず、場合によってはとりあえず「絶対安全だと証明されない限りいやだ」という人の意見が通るかも。

武蔵小杉を過ぎてしまうと、とたんにルートは田園風で、多少の反対はお金で解決可能。うちだって、武蔵小杉駅が便利になって、南武線の本数が増えればすぐ賛成だ。でも武蔵小杉品川間は基本的に何もリニアのメリットがないので、反対意見は出ても賛成意見は出てこないと思うのである。

 

(2014.1.3)

 

 

 

・円安対策

昨年度は、円安に備え、「しばらくは円資産はゼロまたはマイナスに保ち、過度に円が売られたら、多少買い戻すという方針で行きたいと思う。」と記した。

幸い円安が過度に進むことはなく、円を買い戻すところまでは行っていない。今年はさすがに円預金から海外資産への移行はもう少し進むだろう。が、昨年書いたように、歯止めのない円安はおこらないと思う。

よく言われているように、日本全体では債権国。いろいろ相殺すればちゃんと財産がのこる計算だ。あり得ない想定だが、1ドル1000円になれば、そりゃぁ円にした方が絶対有利。基本的には中立逆張りで、過度な高値、安値の修正に貢献する方向で資産を保有する、みなさんのためにもなるし、よいかなと思う。

 

・次の科研申請

EV/HEVの走行音は、今年で最終年。定位実験についてはかなり結果は充実してきたと思う。走行音ライブラリについては、思ったほどデータがとれなかったが、再生装置の制作も急ぐ。なかなかいい研究成果が得られたと思う。

次のテーマだけれど、やはり教育端末を作ってみたいなぁ。

 

・講義

現在担当している講義はこちらの通り。

金子格の担当講義

昨年度 [「音声メディア処理」の最終演習課題 ] を新しくした。ちょうど年末に行うので、ベートーベンの第九を題材に、音楽信号の分析をとりいれた。「無理」となげだす学生が出ないよう、だれでも取り組める程度の問題と、かなりのテクニックを要する問題をとりまぜ、全員がまじめに取り組めるように調整した。まだ回答提出前だが、多くの学生はまじめに取り組んでいる。それほど難しすぎもせず、やさしすぎもせずという状況のようである。この結果を見て今年の年末には改良版を行う予定。

(2014.1.2)

 

・定年準備

特に進展はないけれど、いろいろと検討中だ。

まずは終身年金の増額。

個人で加入できる終身年金に加入して、若干年金を増額した。

終身年金は期待値ではリターン率悪いということはよく言われる。しかし、当家は遺産を残さない主義なので、死ぬまでにほぼ資産を使い切る必要があり(まぁ多少は残して寄付くらいするつもりだけれど)、しかもインフレや医療費の高等を考えると最長寿命まで考えて現在使える現金は、年金にした方が多い。未来は予想できないから、保険としてのメリットがあるわけだ。

本当は、後半増えるタイプの方が使い勝手がいい。そういう商品も探しているが、意外とないのだ。

(2014.1.3)

 

 

・高速炉への期待

高速炉の利点は昨年述べた通り。現実的な脱原発へのロードマップでは、必須の技術だと思う。幸い政策としては開発の継続が決まったが、世論の理解はまだ得られていない。誠実な説得が必要だ。

(2014.1.2)

 

・操縦席には操縦士を(2)

重要な組織の指揮には素人ではなくプロがあたるのが当然だ。

東電の前会長下河辺氏や、現在の規制委員会委員長田中俊一氏については、当初から人選に疑問を持つ人が多かったと思う。
もちろん人選について両氏には責任はなく、当人たちも望んでなったわけではない。こういう人選を強いたこと、きちんとそれに反論し適切な人選を行わなかったことこそが、問題だった。両氏は、事情をかんがみ無理を承知で引き受けていただけた。それには感謝すべきだし、立派に職務を果たされていると思う。しかし、各分野の専門知識が豊富なベストな人材の方がよいということにはかわりはない。

東電の新会長は、組織やプラントに関する指揮監督能力があり、期待できる。実は東電の主事業は、私の理解では送電であって発電ではない。人員の9割はネットワークのメインテナンスだ。発電所は一旦建設してしまえば普段はそれほど人手がかかるものではないのである。しかし現在の東電にとって、今後の設備投資計画の策定は非常に重要だ。大規模な重工業設備の投資計画の経験を積んだ新会長は適任と思える。

規制庁の田中氏も、期待以上にしっかりと仕事をこなしているが、私自身も安全を目的とした規制の作り方については素人なので、この規制委員会の仕事がどの程度機能しているか、実はよくわからない。なにか大きな見落としがないことを願うしかない。

簡単なチェックとして、外部評価(たとえば諸外国の安全委員会にチェックしてもらいコメントをもらう)などは、すぐできるはずだが見当たらない。でも、有識者との意見懇談会などは、あまり安全性向上には役立たなさそうに思うのだ。
(2014年1月3日修正)