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2014年を振り返って/2015年の展望(暫定版)
 
   金子格 個人ホームページ http://www.it-aru.com/    
   


日記を書くほどまめではないが、何もせずに歳を重ねていけるほどほど潔くもないので、年に一度、前年の出来事のまとめと今年の展望を書いている。

他人が見ても多分あまり面白くないだろうが、お正月に暇な人などのために公開している。本人が見ると、「ああ、このころはこんな事を考えていたのだなぁ」などと思い出されて結構面白いものである。

見て面白いのが自分だけなら、わざわざ公開しなくてもよさそうなもんだが、公開しないときっと続かないんじゃないかと思う。わずかなアクセスは多分googleのクロールだけとしても、いつか検索にいっかかるかもと思えば多少の励みにはなる。

といっても毎年元旦には完成した例しがない。それどころか、次の年まで暫定版のままであることが多い。

別記ない限り 2015年1月1日 記

2014年を振り返って

新年
今年も自宅でまったり

政治
安倍政権3年目

経済
円安


 

2015年の展望


環境
・COP21へのカウントダウン

イベント
・IOCとILC

大学で
・担当講義

技術
・高速炉


・自宅でまったり

今年も夏に家族旅行(ロンドン)をしたので、新年は自宅で。ロンドンの写真はfacebookで公開中だ。

facebook ItaruKaneko.3 ケンブリッジ紀行

 

・安倍政権3年目

安倍政権3年目に突入した。

昨年の評価も「経済政策は好調。支持率はまぁまぁ。やや右傾化が心配」がはかわらず。心配された日中関係は大きく悪化することはなかった。

去年の話題は経済政策の総括。まだ意見は割れている。が、総じて効果はあったと言っていいのでは。企業業績、為替、税収などで大きな効果があった。税収増は予算増を大きく上回っている。

こうした変化にはもちろんプラスマイナスあるわけだが、今後、若者の活躍の場が広がり、製造業が活気づくことは確かだ。マイナス面もあるが、補っていくことも可能じゃないかと思う。


 

・円安

2年前まで「円高」というタイトルだったが、円高は終わった。

この2年間は、「しばらくは円資産はゼロまたはマイナスに保ち、過度に円が売られたら、多少買い戻すという方針で行きたいと思う。」と記したが、おかげで円安による被害は皆無だ。

昨年「急激な円安」の弊害を心配する声が大きくなってきた。僕は、それは、円資産を減らしておけばいいだけなので、全く心配はないと思う。

円安で、株も上がり、国の債務も減少している。円安自体にはそれほど大きな問題はない。問題は、資産のほとんどを円債券と現金で保有している個人だが、それは危険だから減らした方がいい。だが、そのために年金があるわけで、GPIFが株資産を増やしているから、円安が進めば年金の原資もその分増え、年金財政自体は改善される。

 

・COP21へのカウントダウン

COP21への各国の対応が進んだ。

世界的には、気候変動対策の必要性はますます共有され、米国、中国という2大排出国を含んだ枠組みが作られることが確実になった。これはよかった。

一方で日本ではなぜか気候変動への対応策の議論が停滞している。

京都議定書の達成もきびしい。環境問題に対する日本の信用はかなり劣化した。直接の原因を作ったのは民主党だが、他国からみればその政府の決定を許した国民の責任だから、我々国民はその責任を引き継いで、信用の回復に努めないといけないと思う。

 

・IOCとILC

IOCとはオリンピック委員会だ

昨年のお正月はオリンピック招致成功で沸いた。その後、オリンピックについては昨年こんな特集記事のエディターを担当した。

オリンピックのための情報処理

この特集の関係で、1964東京オリンピックにおける情報処理についても知ることができた。以下に技術資料が残っている。

東京オリンピック情報システム関連資料

関連資料によると1964東京オリンピックでは、夏のオリンピック史上で初めて大規模なコンピュータシステムが導入された。そのシステム規模は当時最大といわれた航空機予約システムに匹敵する大規模なもの。前回1960ロンドンでは記録の集計が遅れに遅れて、なかなか発表できなかったものが、東京オリンピックではほぼリアルタイムに各種の記録の集計や、ロジスティックスの管理がなされた。こうした経験が、その後日本企業のコンピュータ化を加速することにつながった。東京オリンピックは、オリンピック運営の新しい基準を作ったようだ。2020年のハードルがますます高くみえる。

ILCとは、International Linear Coliderのことだ。

素粒子実験の国際機関で、このところ日本に素粒子実験の施設を誘致しようという計画がある。僕はこれはオリンピックに匹敵する、またはもっとすばらしい、日本の国際貢献になると思う。facebookにILC通信ができたから、そのリンクを貼っておけばいいね。まだまだ可能性がある、ILC誘致にどうぞ関心を持ってください。

Facebook ILC通信

(2015.1.1)

 

 

・講義

現在担当している講義はこちらの通り。

金子格の担当講義

あまり変わらず。

(2015.1.1)

 

 

・高速炉への期待

脱原発には賛成であり、ただ、原子力災害の防止と、核拡散の抑制を考えると、短期的には高速炉の利用が必要と考えている。

この点はここ2年一貫して主張しているが、最近は高速炉の利点について社会的関心も高まってきた。また有力な候補もそろってきた。

有力な高速炉には様々なタイプがある

1. 4S炉 東芝

ポンプや制御棒を排し。可動部品がないので、50年メンテナンスも燃料交換も必要がない。新興国のエネルギー源として実用化すると、管理が簡単で、プルトニウムの取り出しができないから、核軍縮にも有益だ。
小型高速炉(4S)

2. 次世代沸騰水炉(日立、米大学等)

従来の沸騰水炉と同じ部品、技術が使えるので、すぐに実現できるというメリットがある。従来原子炉3基につきこの炉が1基あれば、とりあえず、「使用済燃料が増えない」という目標が達成できる。
日立、米3大学と次世代原子炉を共同研究

3. 溶融塩炉 GE-日立 Prism

冷却材に溶融塩を使用。事故をおこした沸騰水炉のように、冷却水にまつわる問題が解消する。溶融塩はようするに「塩」だ。稼働時は液体だが、事故で流れ出すと冷えて固まるだけなので、爆発も、メルトダウンも、地下水汚染もおきない。また溶融塩炉は使用済燃料を燃料とすることができるので、使用済燃料の削減が可能だ。
GE日立 PRISM

4. HTTR 高温ガス炉

チェルノブイリが高温ガス炉だった。だから印象が悪いが、最新の高温ガス炉は安全面の欠点は克服されたようだ。チェルノブイリでの事故原因は、減速材に黒鉛を使い、これが火災を引き起こしたこと。この最新のHTTRは、炉心材には1mm径のセラミックコートされたペレットを使う。要するにせとものの砂だ。これなら、水爆で爆破されとびちっても(水爆の放射性物質では汚染されるが)炉心財から汚染がもれる心配がない。
ガスもヘリウムを使うから、火災の心配もない。高温で稼動するので、熱効率があがり、その分使用済核燃料が減らせる。もちろん使用済核燃料をHTTRの燃料として消費することも可能。
高温ガス炉


以上みての通り、非常に多くの技術が実用間近。4S炉は実証炉の認可も降りている。

安全面では、これまでの安全基準に加え、万一無人で暴走しても福島で発生したような事故に至らない。第3世代原子炉の事故率は福島の第1世代の1/200とされているが、さらに仮に事故がおこった場合の被害を1/100程度に減らせる。

無論、脱原発に異論はない。しかし脱原発を推進する必要があるからこそ、実際にその方向に進む選択を慎重に選ぶ必要がある。代替えエネルギーを確保されないまま、国内の原発の稼働のみを止めるのは、意味がない。他地域の原発建設を加速するだけだ。

代替えエネルギーの開発を急ぐとともに、現在考えうるもっとも安全な原発を「つなぎ」として使う道も併用すべきだ。使用済核燃料と核兵器拡散の対策としては、高速炉は絶対に必要な技術だ。

脱原発の目標は、「事故防止」と「核兵器の削減」であり、単に象徴的なだけで実質的にはそれに逆行する選択は、脱原発の名に値しないのではないか。

選択可能な選択枝の中で、最短で原発と使用済核燃料が最小化される道を継続的に探っていく必要があり、どんな選択枝があるかが広く知られることが重要だから、今後もこうした情報は紹介していきたいと思う。